売上をアップさせるため、価格設定についてじっくりと考えてみる その2

価格について、もう少し深堀してみましょう。価格はその企業の哲学、ポリシー、想い、品質、雰囲気などを表します。つまりブランディングも兼ねています。

例えばトヨタやホンダが、高級車をレクサスやアキュラといった別のブランド名で販売していることをご存知だと思います。低価格のエコノミーカーでアメリカ市場へ参入したため、高価格帯の車を販売するためにはイメージを変える必要があったのです。高級で高品質であることをアピールするために、品質の向上は当然のことブランド名、ショールームの雰囲気、サービスなども高級感を与えるものに変え、車の価格帯を上げました。

もしかすると、あなたの商品もパッケージを変えることで高級感をアップさせ、価格を上げることができるかもしれません。例えば、国産のはちみつを思い出してください。一般的には高級品です。ですが道の駅などで既製品のビンにラベルを貼って売っている場合、デパート等で購入するよりもはるかに割安で購入できます。この道の駅で買ったはちみつは、家族へのお土産には使えるかもしれませんが、お世話になった方への贈り物や大切な人へのプレゼントとして購入するのは難しい気がします。

反対に雰囲気のあるお店やデパートで、しっかりとした高級感のある箱に詰められて販売されていた場合はいかがでしょうか。もちろん、包装紙も立派な手提げ袋もあります。はちみつの中身が同じであったとしても、高級感を与えることで価格帯を大幅にアップさせて販売することが十分可能となります。また贈答用に使えるので、気に入ってくださったお客さんは何度も購入してくれますし、勝手に商品の宣伝もしれくれます。贈られてその商品を気に入った方が、あらためて個人的に購入されたり、また別の方へプレゼントしてくださったりするのです。

つまり、売上アップのためには購入頻度を上げるという方法がありますが、単純にレシピをいろいろと紹介したり、味の異なる同じカテゴリーの商品を販売して使用頻度、食べてもらう頻度を上げるという方法だけでなく、高価格帯の商品を作りギフト需要に対応するという方法もあるということです。こちらのほうが金額も高く、新たなお客様とも出会えますので非常に有効な方法ではあります。そして、その新たなお客様との関係性づくりもしっかりとできれば、また新たなお客様との出会いがある可能性がぐんとあがってくるのです。

またその際には、どのようなシーンでギフトとして使われる可能性があるのかもイメージしつつ、価格帯も考え、加えてそのシーンと価格に見合ったパッケージも制作する必要があります。単純に高ければいい、高級感があればいい、というものではありません。やはり自分たちのお客様がどのような方で、どんなシーンであなたの商品をプレゼントとして使ってくれそうなのかをじっくり考えます。言い換えますと、どんな価格でどんな商品の構成でどんなパッケージであればプレゼントしてみたくなるのか、を考えます。

別の視点から考えてみましょう。

インターネット通販で購入した商品をあなたが気に入ったとします。例えば、美味しい果物を使った増粘剤不使用で甘さ控えめのジャムが、あなたの嗜好とぴったりでした。その後、再度同じ商品を購入しようと思った際に、そのショップが定期的に値引きやクーポンの配布を行っていることに気付きました。その場合、あなたはその商品を定価で購入するでしょうか。恐らくほとんどの方が『ノー』だと思います。

次回以降は、安くなったタイミングやクーポンが配布されたときにしか購入しないでしょう。つまり、あなたはその商品の価値を値引き後、クーポン利用後の価格としてインプットしてしまったのです。恐らく値引きがなくなったり、クーポンの配布が止まったりすると購入しないはずです。これまで買っていた金額で同じような商品が買えるお店をさがすでしょう。

あるいは、あなたが気に入っていた商品が、ある日、値引きをされていることに気付いたらどんな気持ちでしょうか。単純に損をした気持ちにもなるでしょうけれども、購入金額ほどの価値がなかったとわかり、がっかりしませんでしょうか。特にプレゼントに利用できる商品の場合は、贈った側も贈られた側もがっかりする可能性が高く、その後、プレゼントとして購入することがなくなるかもしれません。

確かに、値引きやクーポンの配布により新規顧客を捕まえて、より販売数を増やすことで売上金額をアップさせる方法もあります。売上がアップすれば、交渉によって仕入コストや配送費を下げることができるかもしれません。ですが、販売数や製造量のアップは、その他のコストの増加をもたらします。具体的には土地を買って工場を増設したり、新たな機会を購入したり、販売や製造工程の増員をしたりなどです。加えて、値引きやクーポンの配布により集めたお客さんは、値引き後の金額でしか購入してくれません。

つまり、販売数の増加は、商品の値上げほどあなたの利益を増加してくれないのです。多くの中小企業がECサイトに出店して、数年後に撤退する理由はここにあります。

私たちは、値引きをしなくとも売上をアップし、しっかりと利益を得られる方法であなたの通販をサポートします。

(現在、値引きにより開拓した新規顧客を優良顧客・ファンに変えるための実験を行っています。こちらについては、また別の機会に報告予定です。)

もしあなたの商品の粗利率が低ければ、まずは値上げを検討しましょう。単なる値上げが難しければ、新しい商品開発を行いましょう。40%~50%の粗利が確保できる商品が完成すれば、売れる仕組みづくりに注力しましょう。これらすべて、私たちが一緒に行います。

参考:新商品を開発するための6つのステップとは?

価格を設定するために、まずは既存の商品の正確な粗利を把握することが重要です。たべラボでは粗利率を40~50%確保することを推奨しています。しっかりと製品ごとの粗利が把握できていない場合には、簡易的に下記のシートにて算出できます。もし経費がいろんな勘定科目に散らばっていると考えられる場合には、顧問の税理士さんに一度ご相談ください。私たちはかつて事前に粗利を確認していなかったために、一部の商品においては売れれば売れるほどクライアントの赤字が増えていたという苦い経験もしています。具体的には通販の送料が製造の送料(輸送費)の中に含まれていたり、家族・親族で通販用の製品を製造していた際に人件費をその他の業務とひとくくりにしていたりといったケースがありました。そのためクライアントから「うちは大丈夫だから、安心して」と言われても、本当に通販を事業として成り立たせていくために下記のようなシートで粗利の確認作業を行います。

さあ一緒に売上アップの道を進んで行きましょう。

● 粗利益率の算出方法  例:メイン商品が3つある場合

1. 製造あん分割合を算出する
  ① 年間販売キロ数を入力する
  ② 合計の販売キロ数を元にあん分割合を算出する


2. 当期製造経費を算出する
  ① 各経費の合計金額を入力する
  ② 各商品の製造経費をあん分割合から算出し、合計して、当期製造経費を算出する


3. 1製品当たりの製造原価を算出する
  ① 2-②÷当期の年間販売キロ数より、1kg当たりの製造原価を算出する 
  ② 商品の入数を入力し、1製品当たりの製造原価を算出する


4. 粗利益率を算出する
  ① 1製品当たりの売価(単価)を入力する
  ② 3-②と4-①から粗利益額と粗利益率を算出する