売上をアップさせるため、価格設定についてじっくりと考えてみる その1

なぜ価格設定についてのテーマを取り上げるかというと、売上アップのためには絶対に外せない重要なポイントだからです。そして、単に売上をアップさせるだけでなく、手元に残る現金を増やさないと特に中小企業は決して楽になれない、生き残れないと考えているからです。

価格を決める方法にはいくつかありますが、中小企業の食品メーカーの多くは、①原材料費にその他の経費と一定の利益を加える、②同業他社の価格帯に合わせる、③卸先から価格帯を提案される、の3点から着地点を決めているように感じます。しかし通販の場合は、あなたが商品の価値に見合う価格を定めて、しっかりとその価値・思いを伝えていくことで、その商品の良さを認めてもらうことができます。

私たちのクライアントも、かつては売上減少の恐怖から長期に渡って価格を据え置いたり、他社より遥かに安い金額で販売したり、ECサイトで大量のクーポンを配布したりしていました。それで売上だけでもアップすればまだよかったのですが、思惑とは反対に売上はどんどん下がり、忙しさだけが増え、現金も消えていったそうです。

では売上をアップするにはどうすればいいのでしょうか。売上をアップする具体的な方法は新規顧客を増やす 後方にはリピート客を増やす新規顧客を増やす平均購入単価を増やすといった方法がありますが、まとめると下記の3つです。

①お客さんの数を増やす
②お客さん一人当たりの購買頻度・回数を増やす
③お客さん一人当たりの単価を増やす

もっと言いますと、販売数量を増やす方法と、価格を上げる方法の二つに集約されます。2つの方法に取り組んでも構いませんし、どちらか片方でも構いません。ここから数字の話が続きますが、しっかりついてきてください。

販売数量×価格=売上

設備がそのままで製造量に限りがある、つまり販売できる数量に限りがあると考えた場合、どうすれば売上をアップすることができるでしょうか。この質問をすると躊躇される方が多いのですが、売上を上げる、利益額を増やすための一番の方法は、価格を上げることです。もしこの原料価格、燃料代、運賃等が上がっている環境で、商品の値上げをまだ行っていなければ、まずは価格を上げてください。

価格を上げると販売数量が下がるのではないかという不安や取引先や地域の目が気になるなどの不安から、多くの企業が値下げを行います。

有名な話ですが、価格を1% 上げて販売数量に変化がない場合、利益額がどれだけ増えるかご存知でしょうか。具体的な数字で見てみましょう。

販売数量:100個
価格:1,000円
売上:100個×1,000円=100,000円

変動費:67% ⇒ 67,000円
固定費:24% ⇒ 24,000円

100,000円-(67,000円+24,000円)=9,000円

利益額:9,000円

価格を1%上げた場合、1,000円×1.01=1,010円になります。
そうしますと・・・

売上:100個×1,010円=101,000円

変動費:67% ⇒ 67,000円
固定費:24% ⇒ 24,000円

101,000円-(67,000円+24,000円)=10,000円

利益額:10,000円

利益額の増加率は
(10,000円-9,000円)÷9,000円≒11.1%

なんと11%も利益額が増えるのです。

では、利益額を2倍にしようと思えば、価格を何パーセントアップすればよいでしょうか。
販売数量、変動費、固定費は変わらないものとします。
そうです約9%です。わかりやすくするならば、価格を10パーセントアップすればあなたの利益は2倍になるのです。

利益額:9,000円 ⇒ 18,000円
売上:18,000円+(67,000円+24,000円)=109,000円
価格:109,000円÷100個=1,090円
 (1,090円-1,000円)÷1,000円=9%

では反対に、価格を何パーセント下げると利益額は半分になるのでしょうか。

利益額:9,000円 ⇒ 4,500円
売上:4,500円+(67,000円+24,000円)=95,500円
価格:95,500円÷100個=955円
 (1,000円+955円)÷1,000円=4.5%

そうです。たった4.5%です。
このほんのわずかな値下げで、あなたの利益額が半分も消えてしまうのです。安易な値引きやクーポンの配布が、中小企業にとっていかに危険かを物語っています。

いかがでしょうか。価格設定は本当に重要です。ぜひ、あなたの商品の販売価格について、じっくり確認してみてください。

⇒ 売上をアップさせるため、価格設定についてじっくりと考えてみる その2 につづく